【社長インタビュー】本社ビルのゼロ・エネルギー・ビル化を実施

屋上に設置された太陽光パネル本社ビルのゼロ・エネルギー・ビル(以下ZEB)化を2013年2月より実施しています。
本社ビルは築30年となりますが、この間は大規模な改修を行っていなかったため、改修工事と合わせてZEB化を行うことにしました。
昨年の10月から工事を開始し、
1.エアコンの取替え
2.LED照明への切替え
3.窓ガラスの二重化
4.外壁・屋上の防水・遮熱塗装
5.屋上への太陽光パネルの設置
6.エネルギー使用状況計測装置の設営
などの工事を実施しました。

このZEB化の狙いや意義について、林社長にお聞きしました。

【問1】ZEB化を行おうと思われたきっかけや動機は何だったのでしょう?

本社ビルは、南面、西面の日当たりが良く、夏場にはエアコンを回していても暑いという社員からの声があり、以前からこれを改善したいと考えていたのと、本社ビルの補修も懸案事項になっており、また、数年前から環境問題について、ささやかであっても社会的責任を果たそうと、CO2の排出量削減のために省エネにも取り組んできたんですが、さらに省エネを進めたいという思いがありました。
この作業環境の改善、本社ビルの改修、省エネを同時に進めたいという相談を建築会社にしたところ、経済産業省のZEB化についての補助事業を紹介されたのが直接のきっかけです。

【問2】ZEB化によるメリットについて、どのようにお考えですか?

monitor 作業環境を改善しながら、省エネを進め社会的責任もある程度果たせる。同時に、電気料金も削減できるということで、長期的に見ればなんとか経済的メリットも出せると考えています。
率直に言うと、ある程度の費用もかかりますので、今の経済環境の中でこの時期に決断するのがいいかどうか迷う要素は大きかったのですが、経済性が長期的に見てニュートラル以上なら実行したいと考えました。内部経済でニュートラル以上と判断できるなら、外部経済を考えて実行すべきです。

【問3】実際にZEB化を進めていかれる上で、大変だったことはありますか?

syorui 省エネの技術や、省エネ機器は多様なものがあり、これらの知識が不足しておって、どのような技術が当社の現状にあっているか、どの省エネ機器を選定するかなど知識が足りないなかでの判断が難しかったです。
また、建築後30年も経過しているし、印刷業界の技術変化に合わせて内部の間仕切りや配線など、度重なる変更もしてきましたので、電気配線や配管など図面と違っていることも多く、実際に工事を開始した後もたびたび計画を変更せざるを得なくなって、この点も大変でした。
なんと言っても、政府の補助事業であり、国民の皆様の税金をいただくわけですので、合理的な判断を証明する書類の整備が必要で、これも大変でした。

【問4】林社長のエネルギー問題などについての姿勢をお聞かせください。

企業は自らの活動が社会に対して与える影響について責任を負っています。エネルギー問題に限っても、多くのエネルギーを消費し、多くのCO2も排出しています。エネルギー消費とCO2排出の抑制の取組みは、企業の社会的責任と考えています。
エネルギー問題といえば、原発について触れないわけにはいきません。原子力発電は、事故が起こったとき、現に起こってしまいましたが、その影響の地理的範囲がとてつも無く広く、時間軸の上でも数十年とか十万年の単位の時間を考えなくてはいけないこと、使用済み核燃料の安全な処理方法が確立されていないことを考えると、どう考えても、不合理で非倫理的な選択です。
いくつかの経済団体の代表者たちが、高い電気料金はいやだから原発を続けろという発言をしていますが、狭い経済性(短期的な損得)を唯一の基準として考えているのでしょうか。外部経済についてはどんな考慮をしておられるのでしょうか。まったく理解できません。
3.11東日本大震災と福島第1原発事故の後、社員のみなさんが義捐金や、ボランティア活動を通じて、被災者の支援活動に取り組んできましたが、福島県やその周辺の地域から放射能を避けて避難しておられる住民のみなさんや、放射能の影響の心配をしながら暮らしておられる被災者のことも忘れるわけにはいきません。企業としても、なんらかの形で支援の意思を示せればいいと思っています。
このZEB化の取組み以外に、3月中に荒浜工場にも太陽光パネルを設置する予定でいます。再生可能エネルギー技術を早く広く普及させ、安全で、持続可能で、しかもより経済的なエネルギーを実現する動きに手を携えたいと思います。持続可能な社会の中で、継続事業体として、存続し続けるためにもね。

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