高評価の裏には試行錯誤があった

当社WEBサイトから受注した物件をご紹介します。
仕様は、タブロイド判 12ページ モノクロ 中質紙 スクラム製本

このタブロイド判カタログには

  • ダークな背景の中に、ダークな人物写真
  • アパレル系のイメージカタログなので、衣装や生地は大事
  • 用紙が中質紙なので、にじみやすく乾きが悪い

など留意する点がいくつかありました。

背景はほとんどベタに近いスミで、黒い帽子の僅かなディテールを残す必要があり
私「アミがつぶれるから荒めがいいのじゃないか」
画像処理課「100線くらいで出してみよう」

線数を100線で出力し刷版で確認することに。
しばらくして印刷現場から連絡が
印刷現場「ひどいモアレだぞぅ、見に来てくれ」

現場に急行し確認してみると、見事なモアレ!
私「アミの角度を変えてみるか」

画像処理課に角度変更を指示し、再出力。
しかしアミの角度を変えても、モアレの出方や 発生場所が変るだけで解消できません。
そこで線数を175線まで上げてみたところ、ほぼモアレは解消。
印刷現場「ヨシ、今日はもう遅いで、朝から刷るから」

明朝また電話が入り、印刷現場へ急行。
印刷現場「アミがつぶれて真っ黒だ、薄くするとメリハリがないしゴーストが出る。全体の印象としては、濃い方がおススメだけど」
実際に刷りだしてみると、95%のアミがつぶれてしまい、ディテールはなくなるし、インクを十分乗せることが出来ず、締まりが ないスミでぼやけた印象。さらに印刷機の胴の回転方向に沿ってアミ0%のライン部分がある関係で、スミベタの中にライン状の ゴースト(濃淡差のムラ)が発生しました。
私「お客さんにデータ修正を頼んでみようか」
完成データ入稿が前提なので、お客様にモアレ解消のため生地部分のぼかし処理をお願いしました。
しかし、どのような処理が適切なのか判断がつかないし、何度も試す時間も無いということで、最終的に当社にお任せとなり、Photoshopでボカシツールとダスト&スクラッチを使い分け、ぼかし処理をしました。

この処理のおかげで、100線で印刷してもモアレがほぼ発生せず、インクも十分乗せることができ、締まったスミの中に、微妙なディテールを 残しながら人物を浮かび上がらせることに成功し、独特のテイストを醸し出すことが出来ました。

現場の方々にも機敏に対応してもらい、また様々なアドバイスをいただき、感謝です。
納品後お客様からは、全然問題ない、取引先からも評判が良い、との評価をいただきました。これが何よりうれしい瞬間ですね。

タブロイドや新聞などのキーワードで印刷会社を検索し、当社のWEBサイトを見ていただき、ここなら相談に乗ってくれそう、想いを形にしてくれそう、と連絡をくださっていると思います。お客様のお役立ちができることがうれしいのは当然ですが、トライ&エ ラーを繰り返しながら、自分自身の経験値が上がることにもなります。また様々な仕様のオリジナリティあふれる物件と出会え、様々な業態の お客様ともお取引きできる。そんなWEB受注の醍醐味を感じながら、今日も見積りのそろばん、じゃなく電卓をはじいています……。

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