古い資料・書類の電子化保存のポイント

最近「自炊」ってのが流行ってるのはご存知ですか?
家で御飯つくることじゃなくて、自分の所有している本を断裁してスキャンしてPDFにして、iPadなんかで「電子書籍」として見ることを言うのだそうです。
iPadは結構売れましたが、同時に本をスキャンするためのスキャナもよく売れたそうです。

2010年は「電子書籍元年」とか言われましたがiPadや電子書籍専用端末を買ったところで、電子書店には2~3万点の本しかないし、AmazonもAppkeもGoogleも日本での電子書籍販売をしていないので、読みたい本を自分で「電子化」してしまう人が増えているんだそうです。そういうことが新聞や雑誌、ニュース番組なんかで取り上げられるようになったからでしょうか?昨年末から今年にかけて「古い書類や資料の電子化・PDF化を検討したい」という相談を受けることが多くなりました。

紙の文書や書類を電子化・PDF化するというのは前からやられていることで、当社も前からご案内させていただいていますが、昨今の「自炊ブーム」を見聞きする中で、「そうだあの古い書類や資料も電子化・PDF化しよう」と思われる方が多いのかもしれません(私の勝手な予想ですが)。

こういう相談の場合、すぐに「見積もりを出して欲しい」って言われるんですが、実はそう簡単ではないんです。たいていの場合、ウン十年前の書類や文書が対象で、古い文書や書類の紙はいわゆる「酸性紙」が多く、年数が経つとボロボロになってくるのが多いのです。スキャナの自動紙送り装置(ASF:オート・シード・フィーダー)にセットしたら、あとは機械が黙ってスキャンしてくれるのならいいですが、ボロボロになりかけた酸性紙をASFにかけたら、それこそオリジナルの文書や資料を破壊しかねません。同様に、折ってあったり付箋紙が貼ってあったり、ASFに入らないくらい大きい(A3以上)場合などは、別途手作業が必要ですのでスキャンは手作業になります。これだとASFの場合にくらべコストが何倍も違ってきます。

おまけに紙は日焼けして色が濃くなっているのに、肝心の文字の方は色が薄くなっている場合もありますので、白黒だけの画像(2値画像)で取り込むのか、グレースケール画像で取り込んだらいいのか、カラーのままがよいのか?あとでプリントアウトするなら解像度は高く設定する必要がありますが、この場合ファイル容量は大きくなりすぎないかなどいくつも考慮すべき問題があります。
写真の精度もどこまで担保するかなども注意しないといけません。

またこうした文書や資料は、いわゆる「合本」として頑丈に綴じられていることが多く、スキャンするためにはいったん綴じてあるところを断裁してしまわねばなりません。この断裁したもをスキャン後また「合本」化して綴じるか、別の保存方法を考えるか、はたまた保存しないで廃棄してしまっていいのか?これによっても期間やコストは大きく変わってきます。

この他にも対象となる文書や資料の保管場所、取り込んだ画像やPDFのファイル名のルール、データベースで管理するのかDVDに焼いて渡せばいいのかなど、いくつもチェックしないと見積もりを出すことができません。分量がとても多いケースがありますから正確に分類して、手作業のもの、ASFでできるものなどの区別や分量を明らかにして作業フローなどを立てておかないと見積もは出すことができません。詳細がわからない場合は、書類が保管してある倉庫などに出向き、デジカメで状態を記録したり、全体のボリュームを算出させていただくこともあります。

だいたいの枚数さえかわれば見積もりは出るだろうとおもわれがちです。ですが古い文書や資料を電子化・PDF化することをお考えの場合は、なるべく早い時点で業者に相談し、余裕をもって作業の設計をされることをオススメします。

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