電子書籍作成記

「電子書籍作ろうぜ!」
部長のひと言から始まった、電子書籍の作成。あれよあれよと言う間に、私のパソコンに電子書籍作成のソフトがインストールされ、環境が整えられました。
環境があっても書籍の中味がなければダメじゃん、と思っていたら・・・弊社には自費出版部門『みずほ出版』がありまして。過去に出版された著者に電子書籍化の提案をしたら興味があるということで、めでたく? 電子書籍の作成が始まったのです。
作るのはiPhone、iPad用の電子書籍アプリ。InDesignで組版して、それをモリサワのMCBookでアプリ化します。

【InDesignで組版】
実は、書籍の組版経験なんてありません。InDesignの解説本を見ながらの試行錯誤です。
当たり前ですが新規ドキュメントを作ります。組み方向は縦組みで、フォントの種類やサイズは適当、行文字数と行数はなんとなく。
次に、マスターページを作成。マスターと書いてあるところをクリック、終了。
さあ、著者からのデータを流し込みます。ファイルを選べば、一気にテキストが流し込まれ、ページが自動生成されました!
「見出し」や「本文」などのスタイルを設定して、スタイルごとにフォントの種類やサイズを決め(これも雰囲気で)、最後にドキュメントを保存してInDesignでの組版は終わり。

【MCBookで編集】
モリサワのMCBookでデバイスでの表示状態を編集します。これもマニュアル片手に必死ですが、実はカンタン。作成したInDesignのファイルをインポートするだけ。フォントの種類やサイズ、スタイル、ルビなどInDesignで設定した要素が、ほぼそのままインポートされています!
iPhoneやiPadでの表示をシミュレーターで見ながら、先ほど雰囲気で設定した部分を確認して、調整したら編集終了。

【最後にアプリ化】
MCBookファイルをiPhoneアプリにする最終段階。ここでカベに突き当たりました。アプリ作成にはAppleにデベロッパー登録をおこない、証明書を発行してもらいます。その証明書がない環境ではアプリが作成できないのです。すでに会社として登録はしていたのですが私のPCではないため、証明書をダウンロードします。
Developperサイトから証明書をダウンロードして「これでOK!」と思ったのですが「証明書が一致しません」と怒られて、アプリが作成できません。困りました。

Developperサイトのフォーラムを覗いても、すべて英語! 読んでもサッパリわかりません。ましてや解決方法を探すのはムリ、ムリ。Googleで検索すること、まる1日。やっと解決方法がわかり、めでたく電子書籍アプリが作成できました。しかし、最後の最後で冷や汗をかきました。それまでが順調だっただけに、焦りました。

できあがったアプリをiPadとiPhoneにインストールしてアイコンをタップ! 見事起動!
・文字サイズ・行間・字送り
・背景の色
・縦書/横書表示
・1行が長くなり過ぎるときには自動で段組に
など、読者自身が読みやすいように設定を変更できます。ここは電子書籍といっても”アプリ版”ならではの強みだと思います。

【校正の出力】
MCBookには、校正用PDFの作成機能があります。
iOSシミュレーター(開発中アプリの検証をMac上でおこなうシミュレーター、iPhoneやiPadの動作確認が画面上でできる)で電子書籍を表示して”撮影”ボタンをクリックすると、ページが自動で送られてキャプチャを撮影し、PDFを自動生成。
そのPDFをプリントアウトして著者に校正していただきました。デバイス上での見え方を著者が確認できますし、慣れ親しんだ従来の方法で校正していただけるので、とても助かりました。

【電子書籍を作ってみて】
“電子書籍化”そのものは、考えていたよりは難しくありませんでした。MCBookでできること(表現できること)が限られているので、その中で考えればいいからです。何でも可能だと、何やっていいのかわからなかったり、あれもやろう、これもやってみようとなりますが、ある程度制限されているのでわかりやすいのです。
InDesignで”適当”だったり”雰囲気”で組版していたのは、細かく設定しても表現できないかもしれない、リフロー型の電子書籍だから1行の文字数や行数も意味ないと思っていたからです。

大切なのは本の中味だと、あらためて思いました。自費出版を手がけている立場からすると編集部分でしょうか。”紙”の本と大切な部分は一緒だと思います。それが”形ある書籍”となるのか”データとしてのコンテンツ”となるかの違いではないでしょうか。読んでもらえる、読みたくなる中味を作ることが基本だと思います。

おまけでAndroid版もつくりましたが、こちらもしっかり動きました。また、モリサワさんには大変お世話になりました。サポートにメールで問い合わせると、サポート時間内なら即日、時間外の問い合わせでも翌日すぐに返信がありました。とても素早い対応で、大変ありがたかったです。

今回の電子書籍アプリは、まだApp Storeで販売していません。販売するためにアプリを登録する必要がありますが、登録サイトは、すべて英語です。悪戦苦闘すること間違いなしですが、初めてのことですから、楽しみながらやっていこうと思っていますが...

4月28日追記
作成した電子書籍『ゲンさんの新聞勧誘問題なんでもQ&A選集』がiTunes Storeで販売開始されました。
ご覧になってみてください。
『ゲンさんの新聞勧誘問題なんでもQ&A選集』をiTunes Storeで見る
※iTunesが立ち上がります。

Get Adobe Flash player